花粉症の治療薬ガイド:ロイコトリエン受容体拮抗薬・点鼻薬・点眼薬の違いと選び方
花粉症の治療にはさまざまな薬があり、「どの薬を選べばいいの?」と迷うことも多いでしょう。前回の記事では、抗ヒスタミン薬について解説しました。今回は、ロイコトリエン受容体拮抗薬・点鼻薬・点眼薬について分かりやすく解説します。自分に合った薬を見つけて、快適な春を迎えましょう!
ロイコトリエン受容体拮抗薬とは?特徴と効果
花粉症の治療薬として、ロイコトリエン受容体拮抗薬が処方されることがあります。これは、アレルギー反応を引き起こす「ロイコトリエン」という物質の働きを抑える薬で、主に鼻づまりの症状を改善する効果があります。
ロイコトリエン受容体拮抗薬のメリット
- 鼻づまりに特に効果的(抗ヒスタミン薬では治りにくい症状にも対応)
- 眠くなりにくいため、日中も使いやすい
- 長期間使いやすい(ステロイドのような副作用が少ない)
デメリット・注意点
- 効果が現れるまで数日~1週間かかる(即効性はない)
- くしゃみや鼻水にはあまり効かない
- 一部の人では効果が弱い場合もある
この薬は、鼻づまりがひどい方や、眠気が出にくい薬を希望する方に向いています。ただし、即効性がないため、症状が出る前から予防的に服用したり最初の1週間は、抗ヒスタミン薬や点鼻薬を併用するのがポイントです。
点鼻薬の特徴と正しい使い方
花粉症の症状を直接和らげる点鼻薬は、特に鼻づまりやくしゃみに効果的です。しかし、点鼻薬にもいくつかの種類があり、正しく使わないと期待した効果が得られないこともあります。
点鼻薬の種類
点鼻薬には主に2つのタイプがあります。主に使用するのは、ステロイド系点鼻薬です。
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ステロイド系点鼻薬(フルチカゾン、モメタゾンなど)
- 鼻の炎症を抑え、長期間の使用が可能
- 鼻づまり・くしゃみ・鼻水にバランスよく効果あり
- 即効性はやや弱いが、持続的な改善が期待できる
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抗ヒスタミン系点鼻薬(アゼラスチンなど)
- アレルギー反応を抑え、くしゃみ・鼻水に効果的
- 即効性があるが、効果の持続時間が短め
- 眠気を感じることがある
点鼻薬の正しい使い方
効果を最大限にするためのポイントは以下のとおりです。
- 使用前に鼻をかむ(鼻水が多いと薬が届きにくい)
- 頭を少し前に倒しながら、鼻の奥に向かってスプレー
- 噴霧後はすぐに鼻をかまない(薬が流れてしまう)
- 1日に決められた回数を守る(使いすぎると鼻が乾燥したり、逆に悪化することも)
点鼻薬は適切に使用すれば高い効果を発揮しますが、使いすぎると逆効果になることも。特に、血管収縮剤入りの市販点鼻薬は長期間使うと鼻腔粘膜の浮腫(むくみ)が悪化し依存性があるため注意が必要です。
点眼薬の種類と選び方
花粉症の影響は、鼻だけでなく目のかゆみ・充血・涙目として現れることもあります。これらの症状には、点眼薬(目薬)が効果的です。主に使用するのは、抗ヒスタミン薬配合の点眼薬です。
花粉症対策の点眼薬の種類
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抗ヒスタミン薬配合の点眼薬(ケトチフェン、オロパタジンなど)
- 目のかゆみを抑える
- 比較的即効性があり、かゆみが出たらすぐ使える
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メディエーター遊離抑制薬(クロモグリク酸など)
- アレルギーの原因となる物質の放出を抑える
- 即効性はないが、花粉症シーズン前からの使用が効果的
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ステロイド点眼薬
- 炎症を抑える強力な効果があるが、医師の処方が必要
- 長期間の使用は避ける(眼圧上昇のリスクがある)
- 内科ではあまり使用しない。当院からも処方はしていません。
点眼薬の正しい使い方
- 目薬をさす前に手を洗う
- まぶたを軽く引き下げ、目の中央に1滴ずつ
- さした後は目を閉じ、1分ほどまばたきを控える
- 複数の目薬を使う場合は5分ほど間隔を空ける
市販薬でも症状が軽い場合は効果が期待できますが、目の充血がひどい場合や、目がゴロゴロする場合は、早めに眼科を受診しましょう。
花粉症の治療薬の選び方と注意点
花粉症の治療には、症状に応じた適切な薬を使うことが大切です。以下に、それぞれの薬の特徴を簡単にまとめました。
種類 |
主な効果 |
特徴 |
注意点 |
ロイコトリエン受容体拮抗薬 |
鼻づまりを改善 |
長期間使えるが即効性はない |
くしゃみ・鼻水にはあまり効果がない |
点鼻薬(ステロイド系) |
鼻の炎症を抑える |
長期間使用可能で効果持続 |
効果が出るまでに数日かかる |
点鼻薬(抗ヒスタミン系) |
くしゃみ・鼻水を抑える |
即効性がある |
眠気が出ることがある |
点眼薬(抗ヒスタミン薬) |
目のかゆみを抑える |
かゆみが出たらすぐ使える |
効果の持続時間が短い |
点眼薬(メディエーター遊離抑制薬) |
目のアレルギー反応を抑える |
シーズン前から使うと効果的 |
即効性はない |
花粉症の薬の選び方
ベースは前回の記事で解説している抗ヒスタミン薬を使用します。
その上で、
- 鼻づまりがひどい方 → ロイコトリエン受容体拮抗薬
- くしゃみ・鼻水がつらい方 → 抗ヒスタミン系点鼻薬+ロイコトリエン受容体拮抗薬
- 目のかゆみが強い方 → 抗ヒスタミン点眼薬
- 総合的に症状を抑えたい方 → ステロイド点鼻薬+ロイコトリエン受容体拮抗薬
医師に相談すべきタイミング
- 市販薬を使っても症状が治まらない
- 目のかゆみや充血がひどい
- 鼻づまりがひどく、夜眠れない
- 薬の副作用が気になる
花粉症は適切な治療と生活習慣の工夫で、症状を軽減できます。自己判断だけでなく、花粉症の症状は様々です。ぜひ一度ご相談ください。