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花粉症の治療薬ガイド:ロイコトリエン受容体拮抗薬・点鼻薬・点眼薬の違いと選び方

[2025.03.10]

花粉症の治療にはさまざまな薬があり、「どの薬を選べばいいの?」と迷うことも多いでしょう。前回の記事では、抗ヒスタミン薬について解説しました。今回は、ロイコトリエン受容体拮抗薬・点鼻薬・点眼薬について分かりやすく解説します。自分に合った薬を見つけて、快適な春を迎えましょう!

 

ロイコトリエン受容体拮抗薬とは?特徴と効果

花粉症の治療薬として、ロイコトリエン受容体拮抗薬が処方されることがあります。これは、アレルギー反応を引き起こす「ロイコトリエン」という物質の働きを抑える薬で、主に鼻づまりの症状を改善する効果があります。

ロイコトリエン受容体拮抗薬のメリット
  • 鼻づまりに特に効果的(抗ヒスタミン薬では治りにくい症状にも対応)
  • 眠くなりにくいため、日中も使いやすい
  • 長期間使いやすい(ステロイドのような副作用が少ない)
デメリット・注意点
  • 効果が現れるまで数日~1週間かかる(即効性はない)
  • くしゃみや鼻水にはあまり効かない
  • 一部の人では効果が弱い場合もある

この薬は、鼻づまりがひどい方や、眠気が出にくい薬を希望する方に向いています。ただし、即効性がないため、症状が出る前から予防的に服用したり最初の1週間は、抗ヒスタミン薬や点鼻薬を併用するのがポイントです。

 

 

点鼻薬の特徴と正しい使い方

花粉症の症状を直接和らげる点鼻薬は、特に鼻づまりやくしゃみに効果的です。しかし、点鼻薬にもいくつかの種類があり、正しく使わないと期待した効果が得られないこともあります。

点鼻薬の種類

点鼻薬には主に2つのタイプがあります。主に使用するのは、ステロイド系点鼻薬です。

  1. ステロイド系点鼻薬(フルチカゾン、モメタゾンなど)

    • 鼻の炎症を抑え、長期間の使用が可能
    • 鼻づまり・くしゃみ・鼻水にバランスよく効果あり
    • 即効性はやや弱いが、持続的な改善が期待できる
  2. 抗ヒスタミン系点鼻薬(アゼラスチンなど)

    • アレルギー反応を抑え、くしゃみ・鼻水に効果的
    • 即効性があるが、効果の持続時間が短め
    • 眠気を感じることがある
 
点鼻薬の正しい使い方

効果を最大限にするためのポイントは以下のとおりです。

  1. 使用前に鼻をかむ(鼻水が多いと薬が届きにくい)
  2. 頭を少し前に倒しながら、鼻の奥に向かってスプレー
  3. 噴霧後はすぐに鼻をかまない(薬が流れてしまう)
  4. 1日に決められた回数を守る(使いすぎると鼻が乾燥したり、逆に悪化することも)

点鼻薬は適切に使用すれば高い効果を発揮しますが、使いすぎると逆効果になることも。特に、血管収縮剤入りの市販点鼻薬は長期間使うと鼻腔粘膜の浮腫(むくみ)が悪化し依存性があるため注意が必要です。

 

 

点眼薬の種類と選び方

花粉症の影響は、鼻だけでなく目のかゆみ・充血・涙目として現れることもあります。これらの症状には、点眼薬(目薬)が効果的です。主に使用するのは、抗ヒスタミン薬配合の点眼薬です。

花粉症対策の点眼薬の種類
  1. 抗ヒスタミン薬配合の点眼薬(ケトチフェン、オロパタジンなど)

    • 目のかゆみを抑える
    • 比較的即効性があり、かゆみが出たらすぐ使える
  2. メディエーター遊離抑制薬(クロモグリク酸など)

    • アレルギーの原因となる物質の放出を抑える
    • 即効性はないが、花粉症シーズン前からの使用が効果的
  3. ステロイド点眼薬

    • 炎症を抑える強力な効果があるが、医師の処方が必要
    • 長期間の使用は避ける(眼圧上昇のリスクがある)
    • 内科ではあまり使用しない。当院からも処方はしていません。
 
点眼薬の正しい使い方
  • 目薬をさす前に手を洗う
  • まぶたを軽く引き下げ、目の中央に1滴ずつ
  • さした後は目を閉じ、1分ほどまばたきを控える
  • 複数の目薬を使う場合は5分ほど間隔を空ける

市販薬でも症状が軽い場合は効果が期待できますが、目の充血がひどい場合や、目がゴロゴロする場合は、早めに眼科を受診しましょう

 

花粉症の治療薬の選び方と注意点

花粉症の治療には、症状に応じた適切な薬を使うことが大切です。以下に、それぞれの薬の特徴を簡単にまとめました。

種類

主な効果

特徴

注意点

ロイコトリエン受容体拮抗薬

鼻づまりを改善

長期間使えるが即効性はない

くしゃみ・鼻水にはあまり効果がない

点鼻薬(ステロイド系)

鼻の炎症を抑える

長期間使用可能で効果持続

効果が出るまでに数日かかる

点鼻薬(抗ヒスタミン系)

くしゃみ・鼻水を抑える

即効性がある

眠気が出ることがある

点眼薬(抗ヒスタミン薬)

目のかゆみを抑える

かゆみが出たらすぐ使える

効果の持続時間が短い

点眼薬(メディエーター遊離抑制薬)

目のアレルギー反応を抑える

シーズン前から使うと効果的

即効性はない

 

花粉症の薬の選び方

ベースは前回の記事で解説している抗ヒスタミン薬を使用します。

その上で、

  • 鼻づまりがひどい方ロイコトリエン受容体拮抗薬
  • くしゃみ・鼻水がつらい方抗ヒスタミン系点鼻薬+ロイコトリエン受容体拮抗薬
  • 目のかゆみが強い方抗ヒスタミン点眼薬
  • 総合的に症状を抑えたい方ステロイド点鼻薬+ロイコトリエン受容体拮抗薬

 

医師に相談すべきタイミング

  • 市販薬を使っても症状が治まらない
  • 目のかゆみや充血がひどい
  • 鼻づまりがひどく、夜眠れない
  • 薬の副作用が気になる

花粉症は適切な治療と生活習慣の工夫で、症状を軽減できます。自己判断だけでなく、花粉症の症状は様々です。ぜひ一度ご相談ください。

 

花粉症治療薬の選び方:効果・眠気・用法で比較!

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