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糖尿病

糖尿病の概要

糖尿病は、血液中の糖の濃度(血糖値)が高くなる病気です。通常、インスリンというホルモンが血糖値を調節しますが、糖尿病の患者ではインスリンの分泌が不足するか、インスリンの効果が弱く(インスリンの抵抗性が上昇)なってしまいます。その結果、血糖値が高い状態が続き、さまざまな健康問題を引き起こすことがあります。

糖尿病の症状について

糖尿病の初期症状は、なかなか気付きにくいものですが、血糖値が高いと次のような症状が現れることがあります。

  • 頻尿: 尿の回数が増える
  • 口渇: 異常に喉が渇く
  • 体重減少: 特に食事量が変わらないのに体重が減る
  • 疲労感: 異常な疲れやだるさを感じる
  • 視力低下: 目がかすむ、視力が低下する

これらの症状が現れた場合は、医師に相談することをお勧めします。

糖尿病の種類について

糖尿病は以下のように分類されます。

  • 1型糖尿病: インスリンの分泌がほとんどない。自己免疫によって起きます。生活習慣病でも、先天性の病気でもありません。治療には、インスリン注射が必要です。
  • 2型糖尿病: インスリンの分泌が不十分か、インスリンの効きが悪い(インスリンの抵抗性が高い)。生活習慣が大きく関与します。
  • 緩徐進行1型糖尿病: 一見2型糖尿病のように見えますが、インスリンの分泌が徐々に低下するタイプです。初期には生活習慣の改善だけでコントロールできることがありますが、最終的には1型糖尿病のようにインスリン治療が必要になることがあります。

糖尿病の原因について

糖尿病は、1型と2型の2つのタイプに分かれますが、ここでは2型糖尿病の原因についてお話します。

2型糖尿病は、インスリンの分泌量が不足するか、インスリンの効果が弱くなる(インスリン抵抗性が上昇)ことが原因です。生活習慣(食事、運動不足、肥満など)が大きく関与しており、中高年に多く見られます。

  • 食事: 高カロリーの食事を続けると、体重が増え、肥満が進行します。これにより、インスリンの効果が低下し、血糖値が上昇します。
  • 運動不足: 運動をしないことでエネルギー消費が少なくなり、体重が増加しやすくなります。また、運動はインスリンの働きを高める効果があるため、運動不足は糖尿病のリスクを高めます。
  • 肥満: 特に内臓脂肪が多いと、インスリンの働きが悪くなります。これを「インスリン抵抗性」と呼びます。
  • 遺伝的要因: 家族に糖尿病の患者がいる場合、そのリスクが高まりますが、生活習慣も大きな要因となります。

糖尿病の検査方法について

糖尿病の診断にはいくつかの検査方法があり、それぞれ異なる側面から血糖値の管理状態を評価します。以下に主要な検査方法を詳しく説明します。

血糖値測定

  • 空腹時血糖値: 最低8時間以上絶食した後の血糖値を測定します。正常値は100mg/dL未満ですが、126 mg/dL以上だと糖尿病が疑われます。
  • 随時血糖値: 食事や時間に関係なく、いつでも測定できる血糖値です。200 mg/dL以上の場合は糖尿病の可能性があります。

HbA1c測定

過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映する指標です。糖尿病の診断や治療の際の目標値に使用します。6.5%以上で糖尿病の診断基準となります。定期的に測定することで、長期的な血糖管理状態を確認できます。

尿糖検査

尿中の糖分を調べる簡易な検査です。血糖値が高いと、尿に糖が排出されることがあります。これは簡便な方法ですが、血糖コントロールの詳細な評価には不十分です。健康診断などの尿糖検査で糖尿病が見つかるきっかけとなることがあります。

CGM(持続血糖モニタリング)

皮膚に小型のセンサーを装着し、24時間体制で血糖値を連続的に測定します。センサーは皮下組織液中のグルコース濃度を測定し、これを元に血糖値を推定します。CGMは、血糖値の変動を詳細に把握し、食事や運動の影響をリアルタイムで確認することができます。主にインスリンの注射を行っている患者さんに使用し、血糖コントロールが難しい患者に有用です。

これらの検査方法を総合的に使用することで、糖尿病の診断と管理が行われます。特にCGMは、日常生活での血糖値の変動を詳細に記録できるため、個々の患者に合わせた治療計画の立案に役立ちます。

糖尿病の合併症について

糖尿病が進行すると、さまざまな合併症を引き起こすことがあります。合併症は大きく分けて「微小血管の合併症」と「大血管の合併症」に分類されます。

微小血管の合併症

微小血管の合併症は、糖尿病によって細かい血管が障害されることから生じる合併症です。これには次のようなものがあります。

  • 神経障害(し): 手足のしびれや痛み、感覚の鈍さが現れる状態です。糖尿病が進行すると、末梢神経にダメージが蓄積し、手足の感覚が鈍くなります。このため、怪我や火傷に気づかないことがあり、症状が悪化することがあります。
  • 網膜症(め): 目の網膜が障害され、視力が低下する状態です。網膜症は糖尿病の三大合併症の一つで、進行すると失明の危険があります。定期的な眼科検診で早期発見・治療が重要です。
  • 腎症(じ): 腎臓の機能が低下し、最終的には腎不全になることもある状態です。糖尿病性腎症は、初期には尿に微量のタンパクが出るだけですが、進行すると腎臓の機能が大幅に低下し、透析が必要になることがあります。

これらの頭文字を取って、「しめじ」と覚えると分かりやすいです。

大血管の合併症

大血管の合併症は、糖尿病によって大きな血管が障害されることから生じる合併症です。これには次のようなものがあります。

  • 壊疽(え): 足や手の血流が極端に悪くなることで、組織が死んでしまう状態です。特に足の指や足全体に発生することが多く、最悪の場合、切断が必要になることもあります。壊疽は糖尿病の進行とともに起こる動脈硬化が原因で血流が悪くなるために生じます。糖尿病は進行すると痛みや感覚が鈍感になり重症になるまで気づかないこともあります。
  • 脳卒中(の): 脳の血管が詰まる(脳梗塞)か破れる(脳出血)ことで、脳に損傷を与える状態です。これにより、体の一部が麻痺したり、言語障害が発生したりします。糖尿病患者は血管が脆くなりやすいため、脳卒中のリスクが高くなります。
  • 狭心症(き): 心臓の血流が一時的に不足し、胸の痛みや圧迫感を感じる状態です。狭心症は心筋梗塞の前兆であることも多く、放置すると命に関わることもあります。

これらの頭文字を取って、「えのき」と覚えると分かりやすいです。

糖尿病の合併症は早期発見と治療が重要です。定期的な検査と適切な管理を行い、合併症の予防に努めましょう。

糖尿病の治療法について

糖尿病の治療は、血糖値を適切にコントロールし、合併症の発症を予防することを目的としています。特に、動脈硬化の予防と体重管理が重要な治療の目標です。治療法は以下のように分類されます。

生活習慣の改善

1. 食事療法

バランスの取れた食事を心がけることが重要です。

  • 適正なカロリー摂取: 体重管理のために、個々の身体活動量や基礎代謝に応じたカロリー摂取を目指します。大事なことは、お腹いっぱいになるまで食べすぎないこと。「腹八分目(六分目)」を意識することです。
  • 栄養バランス: 糖質、脂質、たんぱく質のバランスを考え、野菜や食物繊維を多く含む食事を摂るようにします。
  • 定時定量の食事: 規則正しい時間に食事を摂り、間食や夜食を控えます。
2. 運動療法

適度な運動は血糖値の改善に非常に有効です。

  • 有酸素運動: ウォーキング、ジョギング、水泳など、心拍数を適度に上げる運動を定期的に行います。
  • 筋力トレーニング: 筋肉を増やすことで基礎代謝が上がり、血糖コントロールが改善されます。
  • 継続的な運動: 運動は習慣化することが重要で、無理のない範囲で毎日続けることを目指します。

薬物療法

糖尿病の進行や個々の患者の状態に応じて、薬物療法が必要になることがあります。薬物療法の主な目的は、血糖値をコントロールし、動脈硬化の進行を防ぐことです。インスリン抵抗性を改善する薬や、インスリン分泌を助ける薬が使用されます。

HbA1cの目標値について

HbA1cは、過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映する指標であり、糖尿病の管理において非常に重要です。治療の目標値は、年齢や日常生活動作(ADL)に応じて異なります
以下に、糖尿病診療ガイドライン2024年に基づくHbA1cの目標値をまとめます。

年齢・日常生活動作(ADL)の状態 HbA1cの目標値
65歳未満でADLが良好な場合 6.0〜7.0%
65歳以上でADLが良好な場合 7.0%未満
75歳以上でADLが良好な場合 7.5%未満
75歳以上でADLが低下している場合 8.0%未満
高齢で併存疾患が多い場合 8.5%未満

75歳以上では、HbA1cの目標値は、年齢の1/10(例:83歳→8.3%)と考えてください。上限は、8.5%です。

これらの目標値は個々の考え方やライフスタイル応じて調整されます。
一緒にお話しながら、最適な治療方法、治療目標を相談しましょう。

よくある質問

糖尿病の薬は一生飲み続けなければいけないのですか?

糖尿病は長い経過の病気であり、多くの場合、薬物療法は長期的に必要です。ただし、生活習慣の改善や体重管理、運動療法によって、薬の量を減らしたり、場合によっては薬を中止することができる場合もあります。

糖尿病の影響で歯や歯茎の問題が増えると聞いたのですが、それは本当ですか?

はい、糖尿病は歯周病のリスクを高めます。高血糖が続くと、歯茎や歯の周囲の組織が炎症を起こしやすくなります。また、感染に対する抵抗力が低下するため、歯周病が悪化しやすくなります。定期的な歯科検診と良好な口腔ケアが重要です。

糖尿病があると、どんな予防接種を受けるべきですか?

糖尿病の患者さんは、一般的な予防接種に加えて、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されます。これらの感染症は糖尿病患者さんにとって重篤な合併症を引き起こすリスクが高いため、予防接種によって感染リスクを減らすことが重要です。

食事療法や運動療法を続けるコツを教えてください。

食事療法や運動療法を続けるためには、以下のポイントを参考にすると良いでしょう。

  • 計画を立てる: 毎日の食事や運動を計画し、バランスを考えたメニューやプログラムを組みます。
  • 楽しむこと: 食事を楽しむために彩り豊かな食材を使ったり、新しいレシピを試したり、運動を楽しむために友人や家族と一緒に行ったりします。
  • サポートを受ける: 家族や友人の協力を得たり、栄養士やトレーナーのアドバイスを受けたりすることで、モチベーションを維持できます。
  • 定期的な見直し: 食事療法や運動療法の効果を確認し、必要に応じて改善していくことが大切です。進捗を記録し、達成感を感じられるようにしましょう。
  • 無理をしない: 体調に合わせて無理のない範囲で行い、続けることが大切です。体調が悪い時は休息を取ることも必要です。

 

糖尿病は、動脈硬化の進行により視力低下や感覚障害などの生活に直結する合併症を引き起こします。早期診断と適切な予防、治療が大切です。当院では、患者様一人ひとりに合わせた個別の診療を心がけております。丁寧な説明を通じて、安心して治療を受けていただけます。また、生活習慣の改善に関する具体的なアドバイスも提供し、日々の健康管理をサポートいたします。
糖尿病に関するご相談や定期的な検査をご希望の方は、ぜひ当院にご来院ください。スタッフ一同、皆様の健康を全力でサポートいたします。

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