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心疾患と動脈硬化を予防するための一次予防と二次予防の重要性

[2024.07.30]

予防医学とは?

現代医療において、「予防医学」という概念が重要な位置を占めています。予防医学は、病気の発症を未然に防ぎ、健康を維持するための医療分野です。皆さん、予防といわれてまず思い浮かぶのはなんでしょうか。最近では、新型コロナウイルスやインフルエンザなどのワクチンの予防接種でしょうか。その他、予防医学として大切なものの一つに動脈硬化疾患があります。私の専門は、循環器疾患で、心臓や血管の病気を専門にしています。今まで勤めていた大きい病院では、心筋梗塞や心不全、心臓弁膜症の治療を行ってきましたが、それらの治療において最も大切なことは、病気にかからないことです。心疾患や動脈硬化といった循環器系の病気は、適切な予防対策を講じることで発症リスクを大幅に減少させることができます。

予防医学の主な目的は、健康寿命を延ばし、生活の質を向上させることです。これは、単に病気を防ぐだけでなく、身体的・精神的な健康を包括的にサポートすることを意味します。そのため、予防医学は個人のライフスタイルに深く関わっており、日常生活で実践しやすい方法を提案しています。

一次予防の重要性

一次予防は、心疾患や動脈硬化を未然に防ぐための対策を講じることを目的としています。具体的な例としては、禁煙、バランスの取れた食事、定期的な運動、適切な体重管理などがあります。これらの生活習慣改善策は、心疾患や動脈硬化の発症リスクを大幅に減少させることが科学的に証明されています。例えば、毎日の適度な運動は心疾患のリスクを30%も減少させるとされています。

また、動脈硬化や心疾患の予防の主体は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の治療です。これらの病気を適切に管理し、治療することで、動脈硬化や心疾患のリスクを大幅に減少させることができます。

しかし、一次予防は継続が難しい面もあります。多くの人が健康診断や定期検査で異常を指摘されても無症状であることが多く、予防のために薬を飲んでも体調が良くなるわけではないため、続ける意欲を保つのが難しいのです。このため、予防医学を生活に取り入れる際には、継続のモチベーションを高めるためのサポートが重要です。

私自身、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い脂質異常症でスタチンという種類の薬を飲んでいます。飲んでも飲まなくても特に体調の変化もないため、正直にいうとたまに飲み忘れることがあります。一方で花粉症の時期になると花粉症の薬を飲まないとその日しんどいので抗アレルギー薬の飲み忘れはまずありません。患者さんには飲み忘れがないようにといいつつも、症状がほとんど出ない病気の治療の継続はなかなか難しいなと思うこともよくあります。

 

二次予防の重要性

二次予防は、すでに心疾患や動脈硬化疾患にかかってしまった人が再発を防ぐための対策を講じることを目的としています。例えば、心筋梗塞や狭心症を経験した患者さんに対しては、生活習慣の見直しや継続的な医療管理が重要です。また、定期的な検診やスクリーニング検査も再発予防の一環として重要な役割を果たします。再発予防により、病気の進行を防ぎ、合併症のリスクを減少させることができます。

二次予防は、一度大きな病気を経験した患者さんにとって、その再発を防ぐために積極的に取り組まれることが多いです。患者さん自身が次にかからないようにしようという強い意識を持ち、予防策を真剣に実践されている傾向があります。

まとめと今後の展望

予防医学は、未来の健康を守るために不可欠な医療分野です。個人ができる予防策を日常生活に取り入れることは、健康寿命を延ばし、生活の質を向上させる大きな力となります。今後はさらに予防医学の重要性が高まることが予想され、より多くの人々がその恩恵を受けることが期待されます。クリニックとしても、予防医学を推進し、患者さんの健康を支えるために尽力していきます。

予防医学は、私たちの健康を守り、健康寿命を延ばすために重要な役割を果たします。一次予防と二次予防の取り組みを日常生活に取り入れることで、多くの心疾患や動脈硬化を未然に防ぐことができます。一次予防は継続が難しい場合もありますが、定期検査や健康診断を利用し、無症状でも予防策を続けることが大切です。一方、二次予防は一度大きな病気を経験した患者さんにとって、再発を防ぐために積極的に取り組まれる傾向があります。クリニックとしても、予防医学の重要性を広め、患者さんの健康を支えるために全力でサポートしていきます。健康で充実した生活を送るために、ぜひ予防医学の実践を始めてみましょう。

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