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医師が警告!高齢者の“かくれ夏バテ”を見逃さない家族の心得

[2025.07.07]

夏になると「食欲がない」「だるい」といった体調不良を訴える人が増えます。実はこの“夏バテ”、高齢者にとってはただの疲れでは済まされません。体温調節や水分感知の機能が衰え、気づかぬうちに脱水や栄養不足に陥るリスクがあるのです。こうした“かくれ夏バテ”は、放っておくと命に関わることも。今回は、内科医の立場から高齢者の夏バテが危険な理由と、家族ができる見守り・予防のポイントをやさしく解説します。

高齢者の夏バテはなぜ危険?加齢と体の変化

年齢を重ねると、体は少しずつ「暑さ」に弱くなっていきます。高齢者は若い頃に比べて、体内の水分量が少なくなり、汗をかきにくくなるため、熱が体にこもりやすくなります。また、喉の渇きを感じにくくなるため、水分補給が遅れ、知らないうちに脱水症状が進行してしまうことも。さらに、筋力の低下や持病の影響で食欲が落ちやすく、栄養が不足しやすい状態にあります。これらが重なることで、高齢者の夏バテは、心不全や誤嚥性肺炎、意識障害など、重篤な状態を引き起こす原因となるのです。

高齢者によく見られる夏バテのサインと症状

高齢者の夏バテは、いわゆる「だるさ」や「汗が出ない」といった典型的な症状だけではありません。以下のような症状に気づいたら、“かくれ夏バテ”の可能性があります:

  • 食欲がない、少食になっている
  • 夜眠れず、日中にウトウトしている
  • 便秘気味、あるいは下痢が続いている
  • 急に元気がなくなった、話さなくなった
  • 手足が冷たい、顔色が悪い

こうした変化は、日常をよく知るご家族だからこそ気づけることが多いです。小さな違和感を見逃さず、早めの対応が大切です。

家族ができる!日常生活での見守りポイント

高齢の家族が夏バテにならないためには、日々の見守りとちょっとした工夫が効果的です。以下のようなポイントを意識してみてください。

  • 室温は常に28℃以下にキープ。扇風機と併用するのも効果的
  • 冷たい水ではなく、常温の水やお茶でこまめに水分補給
  • 食欲がないときは、そうめんやスープ、フルーツなど消化の良いものを
  • 一日一度は声をかけ、会話の中で元気の有無を確認
  • 日中の散歩は避け、朝か夕方に。外出時は帽子や日傘を忘れずに

“見守る”というより、“自然に気づく”姿勢が大切です。

受診が必要なサインと、医療機関に相談するタイミング

「なんとなくしんどい」「眠れない」といった状態が数日続く場合は、一度医療機関への受診をおすすめします。特に以下のような場合は、すぐに医師の診察を受けてください:

  • 水分を取れない、またはトイレに行っていない
  • 意識がぼんやりしている、会話がかみ合わない
  • 熱がある、または体が極端に熱い/冷たい
  • 吐き気やめまいが強く、立ち上がれない

早めの受診が、重症化のリスクを防ぎます。「様子を見る」より「相談してみる」ほうが、安心です。

まとめ

高齢者の夏バテは、暑さへの対応力が低下することで、知らないうちに脱水や栄養不足を引き起こす“かくれた危険”です。普段の生活の中で、ご家族が気づくサインも多くあります。「ちょっと元気がないな」と感じたら、声をかけ、食事や水分、室温の管理を見直してみましょう。早めの対策と医療機関への相談が、高齢者の健康を守る大きな一歩になります。

Q&A

Q1:高齢の親が「暑くない」と言ってエアコンを切ってしまいます。どうすればいい?

A: 高齢になると暑さに鈍感になっているため、「暑くない」は要注意サインです。28℃以下を目安に室温を保ちつつ、「ペットも暑いからつけようか」など間接的に促す工夫も効果的です。

Q2:冷たい飲み物を好むのですが、胃腸に負担になりますか?

A: はい、冷たいものの摂りすぎは胃腸を冷やし、食欲低下や下痢の原因になります。なるべく常温か白湯をおすすめし、冷たいものは控えめにしましょう。

Q3:夏バテと熱中症の違いは何ですか?

A: 夏バテは徐々に起こる体調不良で、だるさや食欲不振が主な症状です。熱中症は急激な体温上昇により意識障害やけいれんなどが起こる緊急性の高い状態です。どちらも水分・栄養・休養が重要です。

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