薬に頼らない生活へ!内科医がすすめる「体重管理と生活習慣病」の関係
高血圧、糖尿病、脂質異常症など、いわゆる生活習慣病で当院に通われている方の多くが「体重を減らすと血圧が下がった」「薬が減った」とおっしゃいます。実はこれ、医学的にも明確な根拠があることなのです。
今回は「体重管理がなぜ病気の改善につながるのか」「どうすれば無理なく減量できるのか」を、内科医の視点でわかりやすく解説します。
1. なぜ太ると生活習慣病になるのか?
体重の増加、とくに「内臓脂肪」が増えると、体にさまざまな悪影響を及ぼします。脂肪組織はただのエネルギーの貯蔵庫ではなく、血圧や血糖、脂質に関わるホルモンを分泌する「活発な臓器」でもあります。
脂肪が増えると、
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インスリンの効きが悪くなる(→糖尿病の悪化)
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血圧を上げる物質が増える(→高血圧の進行)
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悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が増える(→動脈硬化のリスク)
といったように、さまざまな生活習慣病を引き起こす原因になるのです。
2. 体重が減ると病気はどう変わる?
体重が5%減るだけで、生活習慣病の改善が期待できます。たとえば、体重70kgの方なら約3.5kg減らすことで、以下のような効果が現れます。
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血圧が下がる(降圧薬の減量や中止も可能に)
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血糖値やHbA1cが改善(インスリン抵抗性が軽減)
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中性脂肪や悪玉コレステロールが下がる
日本糖尿病学会や高血圧学会なども、「まずは適正体重を目指すこと」が治療の基本とされています。
3. 内科医がすすめる体重管理の基本
当院でよくお伝えしている体重管理のコツは、以下の3つです。
① 毎日、体重を測る
変化に気づくことが、継続の第一歩です。朝トイレの後や入浴前など、毎日同じタイミングで測定しましょう。
② 「食事7割・運動3割」の意識
ダイエットはまず食事から。1回の食事で少しだけご飯の量を減らす、腹6分目を意識する、甘い飲み物を控えるなど、無理のない工夫が大切です。
③ 睡眠とストレス管理も重要
寝不足やストレスは、食欲を増やすホルモンを刺激します。規則正しい生活も“痩せ体質”を作るポイントです。
4. 続けられる!現実的なダイエット習慣
無理な食事制限や激しい運動は続きません。以下のような「ちょっとした工夫」を、患者さんにはおすすめしています。
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白ごはんを“半分だけ”雑穀米に変えてみる
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通勤や買い物のときに「一駅歩く」ことから始める
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間食は「ナッツ」「ヨーグルト」など低糖質なものを選ぶ
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お風呂上がりにストレッチを取り入れて代謝を上げる
小さな積み重ねが、3か月後の大きな変化になります。
5. よくある質問と患者さんの声
Q:年齢的に痩せにくくなってきた気がします…?
→年齢を重ねると基礎代謝が下がりますが、それでも正しい方法なら体重は落とせます。特に「内臓脂肪」は運動よりも“食習慣”で落としやすいです。
Q:リバウンドが怖いです。
→急激な減量はリバウンドのもとです。月に1kg前後を目安に、「減らすより保つ」意識で臨みましょう。
患者さんの声:
「毎朝体重計に乗るだけで意識が変わりました」
「以前は夕食を外で済ませることが多かったのですが、自炊を心がけるようにしてから体重が少しずつ減ってきました。」
「お味噌汁や野菜中心のメニューに変えたことで、血糖値も安定しています。」
など、多くの方が“日常のちょっとした選択”で改善に成功しています。
6. 最後に:健康の第一歩は“無理しない”減量から
体重を減らすことは、病気を治す「近道」であり「予防」でもあります。無理なく、焦らず、自分のペースで続けられる方法を見つけましょう。
当院では、患者さん一人ひとりの体調に合わせて、生活改善や食事のアドバイスも行っています。「薬に頼らない体を作りたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
🔶患者さんの体験談
患者Aさん(60代男性)高血圧・脂質異常症で通院中:
「週に1回の散歩と、夕食のご飯を“半分”にしただけで、半年で4kg減。血圧が安定して薬を1種類減らすことができました。先生に『もう少しで薬ゼロも目指せますね』と言われ、やる気が出ました。」
患者Bさん(50代女性)糖尿病予備群で通院中:
「『痩せなきゃ』と焦っていた時に、先生から“まずは体重を毎日測るだけでも違う”と言われて実践しました。体重が少しずつ減り、HbA1cも改善。ダイエットに対するプレッシャーが軽くなりました。」
💡ポイントまとめ(最後に)
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体重を5%減らすだけで生活習慣病の改善に効果あり
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無理なく「毎日測る」「食事の見直し」からスタート
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継続できるダイエットが、薬に頼らない体をつくる第一歩